REPORT
          
        みなさま、こんにちは。
          今季、全日本F3選手権 Nクラスに#23NDDP RACINGから参戦している千代勝正です。
            
            先週末の9月24/25日に宮城県スポーツランドSUGOで行われました全日本F3選手権 第14/15/16戦で、
            1位とシリーズポイント16点差から、大逆転でシリーズチャンピオンを獲得する事が出来ました。
            
            このレースウィークに入る段階で、1位との差が16点もあり、3レースすべて1位10点を取り、
            予選ポールポジションとレース中のファーステストラップのそれぞれ1点を取り、最大35点獲得しても
            相手がすべて2位に入り7点×3の21点を取られてしまうと逆転できないという厳しい条件でした。
            ただシリーズランキングは、自分の力ではコントロールできない部分もあるので、
            とにかく自分のベストを尽くして、今できる最高のレースをして、あとは天命を待つという気持ちで臨みました。
            
            そして土曜日の朝、第14戦の予選は1位。第15戦の予選は2位を獲得し、午後の第14戦決勝を迎え、
            ポールからのスタートで、危なげなく優勝をすることが出来ましたが、このレースのベストタイム順に第16戦の
            スターティンググリッドが決まるため、優勝するだけではなく、ベストタイムも取らなければいけなかったのですが、
            このレースでは、Cクラス(上のクラス)の遅いマシンに前半にずっと引っかかってしまい、その間に他の選手たちにベストタイムを更新されて
            しまい、第16戦のグリッドは4位と厳しい順位になってしまいました。
            
            この時点で1位とのポイント差、8点。
            
            そして迎えた日曜日の朝、第15戦。
            
            このレースのスターティンググリッド順は、1位野尻(ランク1位)、2位中山(ランク2位タイ)、3位千代(ランク2位タイ)。
            ポイント差は、8点。
            
            このレースで、前の2台より後ろでゴールした時点で、チャンピオンの権利はなくなるという大事なレースでした。
            しかもグリッドは3番手と俄然不利な条件でしたが、スタート直後の1コーナーで前を走る2位中山がCクラスのマシンに乗り上げ、クラッシュ。
            それを避ける形で、1位の野尻もコースアウト。
            自分がトップに立った…その瞬間にさらに勢いの良かったチームメイトの佐々木がトップに。
            レースは、チーム1-2の形で進み、トップを追い詰めるも、最後まで抜けず0.5秒差の2位でチェッカー。
            わずかではあるが、最終戦にチャンピオンの望みを繋ぐも、
            野尻もしぶとく3位に入り5点とポール&ファーステストを奪い2点の、2位と同じ7点を獲得し、差は縮まりませんでした。
            
            そして日曜日の昼すぎ。迎えた最終戦。ポイント差は変わらず8点。
            1位を獲得し10点を獲得しても野尻が4位に入った時点で1点差で負ける。
            勝ち+ファーステストラップの1点で、相手が4位で同点。勝利数で自分がチャンピオン獲得となりますが、
            スターティンググリッドが、野尻が2位からのスタート。自分は4位からのスタートと、逆転を望むには、すこし無理がありました。
            しかしここでスタートダッシュを決め、1コーナーで野尻を攻略すると、Cクラスのマシンに引っかかっていたトップ佐々木のアウトから並び
            そのままオーバーテイク、3コーナーの時点でトップに立つと、そのままレースをリードしました。
            さらに、2周目に野尻が4位に後退するという思ってもみない幸運の中、バックミラーでそれを確認すると、あとファーステストラップだけ。
            
            しかし第14戦で、引っかかってしまったCクラスのマシンにまたも前を塞がれてしまい、ペースが上がらない。
            第14戦と同じことをしては、ファーステストラップは絶望的でした。
            そこですこしリスクはありましたが、2周目にペースを落として前の選手と間隔を開け、そこから猛プッシュ。
            見事ファーステストラップも獲得。あとはチェッカーまでマシンを運ばせて、結果を待つだけ。
            そしてチーム員がガッツポーズで迎える中、チェッカーを潜り抜け、
          一時は、絶望的と思われたシリーズチャンピオンをこの手で手繰り寄せることが出来ました。
            正直、このレースウィークに入るまでは、こういったエンディングは想像していませんでした。
            ドラマティックすぎて、自分でも嘘みたいです。
            ただ、チャンピオンは関係なく、ベストを尽くして最高のレースをして終わりたいという気持ちだけでした。
          その結果が、シリーズチャンピオンという形になり、これ以上ない喜びでした。
          今までたくさんのレースをしてきましたが、間違いなく最高の瞬間です。
            ただ車が好きで、お金もコネもない自分が、15歳で時給950円のガソリンスタンドでアルバイトをしながらカートを始めて
            その9年後にまさか、こんな形で涙を流しているとは誰も予想してなかったと思います。
            一つの事を一本に、諦めずに努力し続ければ、夢は現実になるんですね。
            それを自分自身が証明できたことが嬉しいですし、今までの努力が報われた気がします。 
          ただ自分ひとりでは間違いなく、ここまで来ることが出来なかったので、
            プライムワークス様を始め、これまでサポートして下さったすべての方々に感謝する限りです。
            しかしまだこれも一つのステップに過ぎません。
          これからもっともっと高い壁が待っているかもしれませんが、一つ一つそれを乗り越えて
            たくさんの人に楽しんで頂ける、一流のレーシングドライバーになれる様に、今後も頑張ります。
            ご声援ありがとうございました。
          
          千代勝正